2014年9月4日木曜日

ボカロが語る◆ヒモ人間:Ⅳ






あなたを大量の茄子を
盗んだ容疑で逮捕します!



は?




前記事(3記事目)、
ボカロが語る◆ヒモ人間:Ⅲ
の続きです。

1・2記事目は↓コチラ。


ボカロが語る◆ヒモ人間:Ⅰ


ボカロが語る◆ヒモ人間:Ⅱ


一応、お話はこの記事で最後です。








前回までのあらすじ。

なんか分からんけど私が通り魔の役を
やらされたのですが、どう思いますか?



そりゃスコッティ、
ナイフ携帯してるんだから
ピッタリじゃないの。



こら、リンはまだ役が残ってるんだから、
さっさと行く!



拙者の出番、ちょっと
少なすぎではござらぬか?


大丈夫。

お兄ちゃんはめっちゃ恥ずかしい役を
やらされることになるんだから。



それ、何か嫌がらせに聞こえるんだが。




※!WARNING!※


以下の文章・内容は、
実際のボーカロイドとは無関係です。


この記事に掲載されている写真は、
当ブログにて過去に投稿された写真を使ってます。
あくまでイメージ的なものです。
(一部変な画像があります。)


この話に出てくる企業・団体・人物は
殆どはフィクションです。
ただし一部実在するものもあります。


今回のお話は作り話なため、
登場するボカロキャラは各自仮名を
割り当てられた上で演出します。





【登場人物】
(全て仮名)





『真黒野 吐露子』
(マグロノ トロコ):巡音ルカ

主人公・20代前半、ヘタレ女子。

大学卒業後はどこにも就職できず
元ヒモ人間で引きこもりだったため
前に付き合っていた彼氏に愛想つかされ
無職且つ独身3年もの経歴を持つ。

ようやく出版社に就職するも
慣れない仕事についてこれるか
日々不安な毎日を過ごす。

先輩社員の神流にイジられる。



『修羅林 神流』
(シュラバヤシ カンナ):弱音ハク

もう一人の主人公、
吐露子が就職する出版社の先輩。

楽観的な性格で入社したての吐露子を
いじって楽しむ日々を送る一方で
ブチ切れると怖い性格である。

初対面の人間相手でも活を入れたりと
言いたいことはハッキリ言う。

不特定多数の書店とすんなり契約を
取るほど業績は優れてるものの
勤務中にサボることも多いため
編集長からお𠮟りを受ける。

(反省はしていないという笑)

彼氏いない歴2X年。

一人の兄がいるが仲は良くない。

そんな彼女は実は・・・



『西堂 壱子』
(セイドウ イチコ):MEIKO

神流の同僚。

ビールが大好きだが医者に
止められていることに悩まされている。

彼女の酒に付き合わされて
辞めていく新人が後を絶たない。



『峠山 悟』
(トウゲヤマ サトル):帯人

神流の同僚。

怪我を負いやすいほど災難に遭遇しやすく
いつも体中に包帯を巻いている。

隠れオタクでもある。



編集長(仮名なし):歌手音ピコ

神流が入社するまでは温厚な性格だったが
入社後は彼女の問題行動に日々悩まされ
胃がキリキリする毎日を過ごしている。



『松組 鞠夜』
(マツグミ マリヨ):GUMI

22世紀から来たグミえもんと名乗る小娘

ある震災を理由に東北地方から
遥々東海地方まで越してきた。

鍵を閉め忘れた吐露子のアパート部屋へ
不法侵入しては彼女を待ち構えるも
あっけなく追い返されそうになる。

「荒川アンダー・ザ・ブリッジ」の
「負け犬の遠吠え」が気に入ってる。



『蓮之介』(レンノスケ):鏡音レン

鞠夜の弟

年上のお姉さんが苦手である



『瀬和子』(セワコ):波音リツ

鞠夜の姉だがおっとりしている性格。

22世紀から来た
吐露子の孫と名乗りだす。

その吐露子と同い年だが無職である。



『近藤 巴』
(コンドウ トモエ):LILY

新米警官、モデルのような美女だが
休日は上下ともにジャージで過ごす
というみだらな生活を送っている。

オタク趣味があり、特定のアニソンを
勤務中に好んで聞いているが怒られる。



『葱子』(ネギコ):初音ミク

巴の妹、ツインテールの髪型の時は
手が付けられないほどのじゃじゃ馬だが
髪を下ろすと落ち着いた人格になる。

葱が大好きで依存症になるほど。

後に吐露子が勤務する出版社の
バイトへ行くようになる。



『倉本 政侍』
(クラモト セイジ):重音テッド

大学生、吐露子が勤務する出版社で
バイトすることになる。



通りすがりの少女A(仮名なし)
健音テイ

吐露子に一緒に帰りたく
付き添うよう頼みに来た未成年の少女。

しかし本来の目的は・・・



通りすがりの少女B(仮名なし)
鏡音リン

少女Aの連れ。

夜道が怖いため同じように
吐露子に付き添うが・・・



後輩(仮名なし):本音デル

吐露子と同じ出版社に入社し、
後輩となる青年。



謎の人(仮名なし):神威がくぽ




※当記事に登場するキャラクターのみ掲載











吐露子~、生きてて本当によかった~。泣

ごめんね、一人ぼっちにさせて。



いいの、気にしないで。

ところで、未成年の通り魔二人は?



あ、うん、取り調べ中よ。

(言えないけどうち一人は・・・)

あの二人、前々からあのCDショップで
見張ってては、オタクと判断した人を
店から出た後に襲い掛かったそうよ。

ただ、二人ともそれぞれ
動機が異なるのよね。

一人は、過去に身内が何らかの
事故に巻き込まれたから復讐だって。

もう一人は



巴、その子たちとの面会ってできる?



?少しの時間ならできるけど、
会ってどうするのよ?



まあ、様子見と言うか、
説教じゃないけど一言言いたいというか。



ま、襲われた立場だからね。

コッチよ






<取り調べ室へ向かうと>







なっなんだよう?

オタクが何しに来たんだよ!?





この子、やけに怯えてるけど?

ていうか顔に血がついてるじゃない。

そういえばもう一人の子は?



自殺した


えっ!?



持ってた凶器は全て没収したと思って
たんだけど、まだ隠し持ってたらしく、
そのナイフで自分の首筋を切ったのよ。

それもこの子の目の前でね。



なんてことを・・・

たった1度きりの命を。

(だから顔に返り血が)



しかも自殺した子の動機なんだけど






■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


通り魔の真似事が面白そうと思ったから。

ゴミ同然のオタクなら処分しても
誰も悲しまないでしょ?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







襲われた殆どの人は命に別状は
ないけど1名だけ亡くなったから、
終身刑は免れないと察したのでしょ。

亡くなった人というのが引きこもりから
やっと社会復帰した男性だったから
遺族は大激怒。

しかし肝心な、自殺した子の両親は
とっくの昔に育児放棄したらしく。

身分証明書となるものも持っておらず、
だから現時点では身元不明。

正直お手上げよ。

この子に知ってること聞くしかないわ。



・・・あなた、もしかして過去に
オタクと言われる人に何かされたの?




・・・




いーい?

何かされた時は
確かに辛かったかもしれない。
でも、だからってその人と同じ
ようなことをしたって、あなたの心の傷は
永遠には消えないでしょ?

あなたは、そのままでもいいの?





ご・・・ごめんささい!

だって私のお兄ちゃんが、
ゲームオタクに殴られて大怪我して






<面会は終わりました。
 因みにこの二人の通り魔は出身地こそは違うも某SNSで知り合って、意気投合して今までの犯行を計画したという。>






吐露子、アナタさ、
襲われてから何かふっ切れた?



さ、さぁ~、どうなんだろう?

しいて言えば、先輩から説教染みた
ことを言われたから、かな。



どーせあの人のことだから


あら、ヒモ人間がよく生きれたわね。


とか言ってたんでしょ?



いやさすがにそんなことは



言ってないわよそんなこと。



うわっ後ろにいた!



先輩、来てたのですか。



それにしても、吐露子・・・


「その人と同じことをしたって、
 あなたの心の傷は永遠には消えないでしょ?」


とか、ヒモ人間が言うようになったわね~。



えっ聞いてたんですか!?


ちょっと!

部外者は立ち入り禁止なんですけど!



立ち入ってないわよ。

えーっと確かここに



ちょっとどこに
手突っ込んでんですか!?

やめてくださいエッチ!



(心の声)
今更だけど吐露子って胸大きいな

神流先輩も



あったあった、これ、盗聴器よ。



そんなもんいつ取り付けたんですか!?

プライバシーの侵害ですよ!



あら、ヒモ人間にも
プライバシーってあるんだ。

初めて知ったわ。笑



もー先輩っ!!


あそうだ巴。

通り魔に襲われた人の共通点ってさ、
アニメオタクの人なんだよね?



えぇそうよ、ソレが何か?


実はね






<翌日の出勤日、お昼休みにて。>







真黒野さん、修羅林さんから聞いたよ。

警察署にて通り魔のうち一人と
面会しに行ったんだって?

勇気あるねー。



勇気だなんてとんでもない。

時に峠山さん。

通り魔に襲われる直前に、
CDショップに立ち寄りませんでしたか?



うん、確かに寄ったよ。



やっぱり、峠山さんもしかして、
ボヤキロイドに興味ありませんか?



えっ、じゃあ、まさか君も?



はい!そのまさかです!



そ、そっかー。

いや~、良いよねボヤロ。
「獄音ミクト」は何か気に入らないけど
「謳鵜乃IYA」の歌声は好きだな。

あのなんとも言えない小動物っぽい声が。



そうですよね~。

(何で獄音は気に入らないんだろ?)

よかったら、今日の会社帰りに
CDショップによっていきませんか?

また新曲がリリースされたそうなので。



そうなんだ、是非。





ちょっと、今日は私と飲みに行くって


西堂さん、約束した覚えないから。

事前に断りましたよ?

じゃ、お昼休み終わるんで。





・・・・・・・・・



また、付き合おうか?



ありがと







<夕方、CDショップにて。>








俺が襲われたのもそういう事か。

にしても今日は、編集長早く帰ったね。

何か用事でもあったのかな?



どうでしょう?

ところで、峠山さんは
どの曲が一番好きなんですか?



今上映中の実写映画
「るろうに剣心 京都大火編」
の主題歌「Mighty Long Fall」だよ。



ですよね~。

(ボヤロ関係ねぇw)

あら?

あそこにいるのって・・・



あの白髪のショートヘアは・・・







<二人が見たものとは>








通り魔がオタクを狙うと聞いたけど
無事逮捕されたからやっと安心して
CDショップに立ち寄れる。

怖かったんだよねー

あったあった。

ボヤキロイドのベストアルバム。

やっと手に入れ・・・







へ、編集長が、ボヤロ好き?



・・・へぇ~







<気まずくなったので、二人は編集長が会計を済ませ帰るまで別のコーナーへ一旦移動したという。笑
 そしてアパートへ帰宅した吐露子>








ただいま。



真黒野さん、ついさっき知ったんだけど、
一昨日通り魔に襲われたんだって!?



よく無事でいられましたね。



そうだけど、もう済んだことよ。



自分で撃退したのですか?

それとも、誰かに助けられたの?



あ、そうそう、間一髪のところを
一人の男性が助けてくれたの。

名前を名乗らずに行ってしまったけど。

ちょっと良い男だった。



へー、その人に会ってみたいなー。


あ、話変わるけどさ、この間、
ベランダで栽培してせっかく
実った茄子が1個無くなっててさ。

悔しいったらありゃしない。



ナ~スナスナス
ナ~スナス~




替え歌作るな!そして歌うな!





真黒野さん、帰ってきたばかりで悪いですけど、
会社の先輩のことで、
ちょっとお話があります。



先輩のことで?






<別の部屋で話を聞くと>






え!?

修羅林先輩が福島県出身の人!?



まだ確信はないですけどね。

僕、ここに来てあの人の顔見て、
最初は気づかなかったけど、
後で昔のことを思い出したんだ。







<それは当時、彼が小学1年生の頃。>







■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


うぅ、膝痛いよ~。





あら、あなた怪我したの。

いつもここで遊んでるけど、
車がよく通るから危ないよ。
おねーちゃんが手当してあげるから、
もう泣かないの。

人間ならちょっとやそっとのことで
泣いたりくじけたりしない。





普通こういう時

「男の子なら泣かないの。」

と言いません?



あら、ヒモ人間ながら
良いツッコミするのね。

褒美にコレをあげるわ。












何ですかコレ?

(いらね~)



え、まさかジャスタウェイを知らないの?

こんなにカワイイのに。

これはお守り代わりにとっときなさい。



ていうかヒモ人間って何ですか?



だって未成年とはいえ、
親の脛かじって生活してるから
ある意味ヒモじゃないの。

私はバイトできる年齢だからね





神流、こんなところにいたのか。

先に行ってるぞ。



あ、兄さん、今行く。

じゃあね、ヒモ少年。



ヒモ少年って・・・

でも一応手当ありがとう。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■








こんないたいけな少年にも
ヒモ人間って呼んでたのかあの人は


でも、そっか。

その地域にて近所に住んでたんだ。

で、その兄さんみたいな人は・・・



顔は見てなかったからハッキリと
覚えてはないけど、少し髪が長かったかな。

髪の色も紫がかってたかな。

そんな印象だった。



髪が長かった?

(まさかあの人のこと?)

それで、彼女は震災が起きる
直前までその地域に住んでたの?



いや、当時、怪我の手当てをしてくれた
その数日後には東海地方へと引っ越したよ。

あの時はちょっと寂しかったな。



じゃあ、明日先輩に聞いてみるわ。

答えてくれるかどうかは分からないけど。







<次の出勤日にて>








おはようございます。





おはよう真黒野さん





お、おはようございます、編集長。

(あれ?この人なんか機嫌が悪い。)


(小声)
真黒野さん、編集長は昨日のことで


(小声)
あっそうだった!

昨日CDショップのボヤロオコーナーで
ばったり遭遇したんだっけ。





二人とも、来たばかりで悪いが
ちょっといいかな?




は、ハイ。







<屋上へ移動する3人>








編集長、申し上げておきますが、
昨日のことは誰にも言ってませんよ。


本当に?


そうです。

むしろ、編集長がボヤロに興味を
持つことに誰も眼中にないと思いますよ。



それはそれで何か腹立つな。怒

せめて気にも留めないと言わんかい



とにかく、戻りましょう。

絶対誰にも言いません。



ならいいんだ。

でももし誰かにもらしたら。



やっぱり、クビですか?



いや、二人とも針千本飲ますからね。



今どき針千本ですかw







<職場に戻ると>








編集長、どこ行ってたのですか?



あ、いや、ちょっとね。





編集長、この際ハッキリ言いますけど。

編集長がボヤロ好きなことは
もう全員に知れ渡ってますよ





なに!?


さては貴様ら!





い、言ってませんよ!?



これ、編集長のでしょ?

詩織も挟んであるし、
階段の所に落ちてましたよ。



あ、昨日散々探して見つからなかった
イラスト集・・・・・・





あら編集長、ただでさえ真っ白な白髪が、
秘密がバレてさらに白さが増しましたね。

おめでとうございます





(トドメさしやがった!)







<お昼休み>








そういうことがあったんですか。



元気出してくださいよ編集長。



は・・ははは・・・ハハハハハハ。



編集長がのたれ死んでる。

よし、スマホでカシャ。



(何やってんのこの人は)

あ、先輩、ちょっと聞きたいことが。

屋上へ来てくれませんか?







<再び屋上へ移動する吐露子>








なーに、話って?



先輩、お兄さん、いますよね?



えぇ、いるわ。

先日、オアシス21でアナタの
スマホを拾ってあげたり、
通り魔から助けてあげたはずよ。



えっ、じゃあ、まさか!?


そ。

あなた私がいないとおっちょこちょいで
一人にさせるのは心配だったからさ、
兄に頼んで見張るよう仕向けたの。



仕向けたって・・・。

ちょっと残念です。

私、正直運命の人かと思ってたのに。



運命の人ねぇ。

じゃあ絶望しなさい


え!?

どうしてそんなこと言うのですか!?



兄はアナタが思ってるような男じゃない。

直接会えば奴の本性が分かるわ。

何なら今呼び出してもいいのよ。


い、いえ!

日にちと時間を決めさせてください!

いきなり来られても困りますし!







<そうして、場所と日時を指定し、神流の兄と会う約束をした吐露子。
 その約束の日にて。>















ついにこの日が来た~。

命の恩人とはいえ、緊張するなー。







<緊張しながら待つ吐露子。
 そして>







失礼。

真黒野 吐露子さん、ですよね?




あっ!?

は、はい、真黒野です!

あの、先日は、
本当にありがとうございました。

危ないところを助けて頂いて。




ハハハ。

私などただの通りすがりですよ。

いえ、もう妹の神流から
聞いてるとお察しします。
妹からヒモなどと言われ、
あなたもいい迷惑でしょうに。





いいえ、先輩にはいつも
お世話になっております。

(なんて紳士的な方なの。)





■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


あら吐露子。

今日はヒモどころか
干物みたいな顔してるわね。

海産物っぽい名前だけに。笑

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





(心の声)

神流先輩とは大違い。

同じ兄妹とは思えないわ。





一目見た時から、キレイな女性だと思い、
ずっと忘れられません。

アナタは美しい、素敵です。





うっ美しいって、私なんかが。

(きゃーーーー)





そう、例えるならまさに







<神流の兄が何か言おうとしたその直後>








あれ、吐露子じゃないの。

こんなところで会うなんて奇遇ね。





あ、巴、今帰り?

あ、紹介するね、先日、
通り魔から助けてくださった

(そういえば下の名前がまだ)



おや!お久しぶりですね!



え?巴、この人と知り合い?



おやおや、またお会いしましたね。

ですが残念、私はこれにて失礼します。



ちょっと待ってください。

まだお礼もしてないのに
もうお帰りになるなんて。



後生です、どうか手を放してください。



後生ってそこまで


修羅林 茄子次郎!

あなたを大量の茄子を
盗んだ容疑で逮捕します!



は?







ガチャッ








うむ、捕まってしまったようですね。

ホッホッホ


ハァ!?

ちょっとどういうこと!?




この手配書を見て。



え、手配書って・・・


えーーー!!
茄子泥棒!?


しかもなんて無駄なイケメン
そして茄子次郎という名前って







<現行犯逮捕されてしまった、神流の兄・茄子次郎。
 そんな彼のところへ・・・>








そ、そこにいるのは!?

茄子次郎前編集長ではありませんか!





あ、茄子次郎工場長代理。

今日も何かをぶっ壊すのですか?





あ、茄子次郎のお兄さん!

今度はどこの葱を盗むのですか?





あ、茄子次郎先生じゃないですか!

大学の講義が休講続きですが、
また茄子の食べ過ぎで腹壊したのですか?




あ!

アンタはこの間、私との飲み比べ勝負に
負けた茄子っぽい人じゃないの!

リベンジしにきたの?




おや?

茄子次郎先輩じゃないですか。

大学以来ですね。

まだ、ボヤロで茄子の歌作ってるのですか?








ちょっと皆この人と
どういう繋がりなのー!?







<顔の広い男なのでした。笑
 それで翌日>







わかったでしょ。

私の兄がとんだ変人なのを。


ハイ。

あの後、面会に行ったんですけど







■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


茄子次郎という男は、私が警察官になって
半年後に指名手配されてたみたいなの。

ただけっこうなイケメンだから、
先輩の婦警たちが早く逮捕したがってたわ。


そうなんだ。

でもその人、警察に電話して
通り魔を受け渡したんだけど、
その時に来た警察官は知らなかったのかな?



まだ全員に知れ渡る前だったからね。

知らなかったのも無理ないわ。

ここよ。

まあアナタにとっては気の毒ね。





やあ、またお会いできるなんて。

これも運命というものですかね?





茄子次郎さん、あなたに命を
救われたことは本当に感謝しています。

そんなあなただからこそ、
罪を償って頂きたいと思ってます。





えぇ、勿論そのつもりですよ。





(やけに素直だなこの人)

あと、私の知り合いと
繋がりがあったようですが、
一つずつ話して頂けますか?




はい。

まず、あなたが勤務する出版社の
現編集長とは、私が編集長だった頃、
単純に上司と部下の関係でした。

ただ、私は出版だけでなく、
社内で茄子の自家栽培を始めましたが、
部下は皆猛反対。

反対を押し通して茄子を栽培したら
それで見事クビになりました。

同時に私はジャスタウェイ生産工場の
工場長代理を務めてまして。

瀬和子さんでしたっけ。

彼女と密かにジャスタウェイ型
プラスチック爆弾の開発について
研究してました。

勿論、壊すのは廃ビルだけですよ。

葱子さんとは、彼女が幼い頃から、
彼女に葱の華麗なる盗み方を伝授してました。





お前かーー!!

妹に葱の盗みを
教えたのは!




巴、声が大きい、黙ってて。





倉本くんが通う大学の講師をし、
そこでは生物学を教えてましたが、
茄子の食べ過ぎで休講の日々が続きました。

西堂さんとは行きつけの居酒屋で
ばったり遭遇したのですが、
その場で彼女と飲み比べ勝負に
付き合わされる破目になりました。

負けた方が全額支払うルールでした。

そして峠山くんとは大学時代からの
付き合いですが、お互いボヤロ好きとして
あれこれ暑く語り合ったものです。

まあ、こんなところですね。





なるほど、わかりました。

時に、あるアパートの部屋で自家栽培
された茄子を一つ盗みませんでしたか?





なんと、あれはアナタのものでしたか。

それはまことに申し訳ありません。

釈放されたら別の茄子を盗んでお返しし




盗まんでいい!!

私まで共犯になっちゃうし


そういえば、逮捕される直前に、
アナタ私に何か言おうとしてませんでした?





あー、あれですか。

アナタのことが美しいと言ったのは・・・

まん丸と実った
京茄子のごとく
見事だという
意味をこめたまでです






それって私が
太ってるって
言いたいの!?

なんなのよ
モーー!!




面会終了の時間よ。

まったく、見た目だけは良い男なのに。





アナタも、茄子の黄色い中身のごとく
食欲そそる髪の色をしてますね。

キレイですよ。





茄子の中身に例えられても嬉しくねえよ!!

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■








とまあ、呆れるくらいの盗人の数々、
おまけに茄子に関わることばかり。

本当に、先輩のお兄さんは
異常なほどの変人っぷりですね。





先輩?





最近ナスや葱を使った夕飯が多いと思ったら
そんなことやってたのあのバカ兄貴。

まるで私まで共犯じゃないの。



あ、一緒に住んでらっしゃるのね。

ご飯はお兄さんが作られてるんですか。



そうよ、そうやって幼少期から
現在までずっと養って


あ、いや、昔から料理が得意な兄貴で。



ん?今養ってって言いませんでした?


言ってない



いや確かにそう聞こえましたが?

そういえばお兄さんってここの
元編集長だったのですよね?

まさかとは思いますけど、先輩、
この出版社にはコネで入社したとか?



そ、そんなこと!ないもん



何ですかその自信なさげな発言は?

ちゃんと目を見て言ってください。



に、22歳で入社したもん。



じゃあ、どこの大学を卒業したのですか?



そ、それは・・・



あ、そういえば、中日大学って知ってます?



そ、そうよ中日大学を卒業し


そんな名前の大学
名古屋にも国内にも
ありませんが?








<かまをかけたのでした。笑>








は、諮ったわね!



私は知ってるって聞いただけですが?

今のでハッキリわかりました。

先輩、少なくとも大学に
通ってないんですよね?

入社するまでの間、何してたんですか?


私が言うのもなんですけどぉ、
まさか先輩ともあろうお方が
ニートだったなんてないですよねぇ?




元自宅警備員ですぅ



世間ではソレをニートと呼ぶんじゃい!

散々私の事ヒモとか言っておいて!

ずっとあの茄子依存症のお兄さんに
養ってもらったんですよね!?

元とはいえ
先輩こそお兄さんの
ヒモじゃないですか!!








ブチっ
(何かがプッツンと切れた音)







ぶち?

え、そのギターどっから





ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~

ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~






せっ先輩が
壊れやがった!!








<その後、先輩の歌声による
「負け犬の遠吠え」
 が、当出版社のテーマソングになったというw>















<翌年の春にて>








真黒野先輩。

修羅林先輩のお兄さんって、
ここの前の編集長だったのですよね?



えぇ、そうよ。

(私が先輩と呼ばれる日が来るなんて)

でも、お兄さんの話になると、
あの人、機嫌悪くなるから。

(吐露子のスマホの着信音が鳴る)

あ、巴からメールだ。





■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<メール本文>


茄子次郎くんと結婚を前提に
お付き合いを始めました(💗)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





(心の声)
何があった!?






先輩にとってピンチな案件です。

彼女が本当にお兄さんと結婚したら、
巴が義理のお姉さんになりますね。





ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~

ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~






あれが、修羅林先輩のいう、
機嫌が悪い、というのでしょうか?



いや、あれは壊れてるだけだから。

ただの

「負け犬の遠吠え」

だから!







<さらに半年後>








ご結婚、おめでとうございます。

いつの間にそういう関係だったのですか



どうもありがとう。



いや~やっと独身生活から解放されたわ。



めでたいけど、僕としては残念だね。

有能な人材が出ていくというのは。



そうですよね。

ねえ先ぱ・・・





ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~

ヒ~モヒモヒモ
ヒ~モヒモ~






出た、負け犬の遠吠え。笑



もー先輩!!







<何かある度に現実逃避をしだす神流なのでした。笑
 その翌週>








はぁ~。

私らだけですね、編集長。



ん?何が?



独り者に決まってるじゃないですか。



僕には既に妻がいるんだが。

あれ、言ってなかったっけ?






へーそうなんですか。





シネシネシネシネ
シーネシネ

シネシネシネシネ
シーネシネ
シネシネシネシネ
シーネシネ

シネシネシネシネ
シーネシネ

シネシネシネシネ
シーネシネ

シネシネシネシネ
シーネシネ

シネシネシネシネ
シーネシネ






もー付き合ってられん







<さらに1か月後>








せんぱーい
聞いてくださーい

私好きな人が



トゥ!


ぐへぇ!






<私より先に恋人を作るなと言わんばかりに一撃を喰らうのでしたw>




■■■■■ E N D ■■■■■




今回のお話の簡単な解説はコチラ↓から。

ボカロが語る◆ヒモ人間:解説