2014年1月12日日曜日

ボカロが語る◆尊い命:Ⅲ


画像出典:pixabay





人間の骨でダシ取ったら
どんなラーメンできるんだろうと思ってた





前記事、

ボカロが語る◆尊い命:Ⅱ

の続きです。

1記事目は↓コチラ


ボカロが語る◆尊い命:Ⅰ







初めて来られた方は下記の
記事を先にお読みください。


当ブログのお話を閲覧する前にご覧ください





前回までのあらすじ。

沼子(Lily)の姉御が

アンポンタン

すぎて仕方ありません。


アレ?こんなんだっけ?



IAちゃん台詞違うよ?

ドラえもんをリアルタイムで見るために
帰るか帰らないか迷っている
沼子の姉御、でしょ?

そして誰がアンポンタンだ
このアホ毛





【※!WARNING!※】



以下の文章・内容に登場する、
ボーカロイド及び
他キャラクターは
公式のものとは無関係です。
二次創作的なモノです。


この記事に掲載されている写真は、
当ブログの管理人が
撮影した写真を使ってます。
あくまでイメージ的なものです。
(一部変な画像があります。)


無料素材の写真も使ってます。
(上部に<無料素材>と表記)


GUMIが男嫌いな少女役を演じます。
これでもかと言うくらい男の存在を拒絶し
尋常じゃない乱暴な言葉を言います。
発言と行動がかなりエグイです。


男性の悪い所をとことん書き散らし、
それに嫌悪する女性の恨みが詰まった
おぞましい内容です。
が、一切真に受けないでください。


お話自体はフィクションですが、
世間の男性が起こした似たような
トラブル・事件が国内で実際にあり
しかも男嫌いな女性は沢山います。
だからある意味ノンフィクションです。



今回のお話は作り話なため、
登場するボカロキャラは各自仮名を
割り当てられた上で演出します。





【登場人物】
(全て仮名)





「哀華‐あいか」
大の男嫌いな高校生・一応主人公
クラス内の女子を束ねるボス猿的存在
女性が平和に生きれるなら男は死ぬべきと普通に考えている
本人は自覚がないが殺人未遂のこともやらかす
両親がいないため女性客しか来ないお店がある隣町でバイトしている
役:GUMI



「翆拳‐すいけん」
一応女嫌いの高校停学中の生徒・主人公
ある事件を境に女性に嫌悪感を抱いてしまう
ただし茄子が好きな女子には優しい
実はオカンが怖かったせいか自分より喧嘩に強い女には怯えてしまう癖がある
役:神威がくぽ



「鷹斗‐たかと」
哀華と同じ高校に通う生徒
ただ存在するだけで何故か女子から嫌われている
役:KAITO



「樹里‐じゅり」
哀華のクラスメイト
女子たちからの同調圧力を無視し鷹斗らと一緒にいることが多い
役:亞北ネル



「城助‐しろすけ」
哀華のクラスメイト
特に女子から嫌われてもおらず
というか空気のような存在
役:本音デル



「蒼‐あお」
哀華の友達・やや男性恐怖症
チンピラから哀華に助けてもらったため仲が良いが彼女の限度を超える発言に疑問を抱いている
役:初音ミク



「観由‐みゆ」
哀華のクラスメイト
一応男性は平気だが哀華が怖く逆らえないため嫌いであるよう演じている
役:健音テイ



「由宇‐ゆう」
哀華のクラスメイト
本当は男嫌いではないがクラス内の女子たちからの同調圧力でそのフリをしている
役:呪音キク



「輝子‐てるこ」
哀華の担任の先生・三十路かつ独身
哀華が男嫌いな理由を知っているが彼女の行動に頭を悩ませている
そのストレスのせいかドリルのおさげがまとまらず髪はロングにしてるらしい
役:重音テト



「嘉那痲‐カナメ」
楓峰高校の副会長
空手部の黒帯の持ち主だが裏で何か問題を起こしてるらしい
役:弱音ハク



「精進‐しょうじん」
楓峰高校の生徒会長
嘉那痲の問題行動を監視している
実は哀華の過去を知っている
役:歌手音ピコ



「未子‐みこ」
哀華の妹・健全な中学生
役:鏡音リン



「光太郎‐こうたろう」
未子の同級生・嘉那痲の弟
役:鏡音レン



「允‐まこと」
翆拳の旧友・故人
役:重音テッド



「沼子‐ぬまこ」
香葬高校の自称番長(笑)
絶滅危惧種である番長の恰好をしているがある女性に憧れているからである
不良っぽいが特に悪いことはしておらずむしろ迷子の子供を交番へ連れて行ったりゴミ拾いをしたりと良心的である
同い年の男子を見かけては告白するもすぐフラれるがその人数を覚えるほど無駄に記憶力が高い
バイクではなく普通のチャリで交通ルールを守りながら爆走する
何故か連れの女たちからオヤツと称して変なうまい棒を無理やり食わされることが多い
連れの女子曰く姉御と呼んでるが世話の焼ける妹みたいな存在らしい
国民的アニメをリアルタイムで観ないと気が済まない
役:LILY



「巳亞‐みあ」
沼子のパシリ(笑)
男の腹筋好き
前は哀華と同じ高校に通ってたがある事件で転校した
役:IA



翆拳の祖父(仮名無し)故人
:帯人



哀華と未子の父・前科あり(仮名無し)
役:氷山キヨテル




※当記事に登場するキャラクターのみ掲載









話変わるけど、翆拳君がさっき言ってた、

「俺の爺ちゃん」

というのは?

言いたくなかったら別にいいよ。



いや、話そう。

去年の秋の季節に、俺の爺ちゃんが、
81歳で他界した。

爺ちゃんは成人を過ぎた頃から煙草を
吸ってたから、それで高齢に
なった頃には肺炎を患ったんだ。

正確には

「肺気腫」

という病名で、当然肺の機能は低下し、
在宅酸素療法※が欠かせなかった。






<※常に酸素を要するため、家庭に専用の機械を使う療法。
 外出時に持ち運び用の酸素ボンベも有り。>







俺知ってる。

翆拳のお爺さんのその姿観た事あるし。

ほら、「ONE PIECE」の
白ヒゲ初登場時もそういう
チューブ(管)つけてたじゃん。

アレのことだよ。



そっか~アレのことか~。

白ヒゲ万歳!



まだ帰らないの?



でもエースと共に亡くなったのよね。



読んでないから分からない。



その在宅酸素療法って自分の肺の
力では酸素を吸収しきれないから、
専用の機械(ボンベ)を使って
酸素を取り入れるのよね?

トイレの時とか外す人が多いらしく、
そのちょっとした油断から
寿命が縮まるみたい。



爺ちゃんはきちんとそのことは守ってた。

しかしある日、あろうことか
ボンベからチューブが外れ、
それで爺ちゃんは・・・


気の毒だな。

でもそれって簡単には外れないように
なってるんじゃ?



そこなんだ問題は。

ボンベのそばに、
見覚えのない女物の髪止めが落ちてたんだ。



お婆様かお母さんのでは?



聞いてみたが、
二人とも知らないと言って。

そして、葬式・告別式を終えた数日後、
本当の死因を見つけた。



本当の死因?

チューブが外れたからだろ?



外れたんじゃない。

外されたんだ

意図的にな


えっ!?

じゃあ、殺人事件ってこと?

犯人は、落ちてた髪止めの持ち主。

でも誰が?



まさか、哀華が!?



いや、あの女は今も
俺の家を知らないはずだ。

実は当時、俺の家の隣に、
中学生くらいの女子とその家族が住んでて、
そしてある日の学校の帰り道、
こんな会話が聞こえた・・・。




女子中学生:(携帯電話による通話)
そういえば数日前さ、
ちょっとスリルあることしたよ。

隣に住んでる爺が鼻に変なチューブ付けてて、
多分それがないとその爺生きられないと思うの。

なんかもう、そいつが庭いじりとかで家の外に出て、
コッチ覗いてるんじゃないかと気持ち悪く感じてさー。

ほら私の部屋1階だし。

だからムカツイタからこっそり忍び込んで、
チューブ外してやったよ。

どうせ長生きできないんだし。

やっと平和な生活を送れて清々したよ。

でもなんで爺って鬱陶しいのばっかなんだろうねー。






その通話を聞いて、間違いなく犯人は
その女子中学生と確信した俺は、
直ぐにソイツを問い詰めて、
ソイツの親も呼び出し、警察に通報した。

落ちてた髪止めという証拠もあり、
女子中学生は犯行自体は認め、
ソイツの親も泣きながら土下座した。

だが女子中学生は・・・




女子中学生:
だって爺嫌いだもん
キモイ
女の天敵よ






俺は我を見失い、怒り狂い、
その女子中学生を危うく
病院送りにするところだった。

そばに居た婆ちゃんとお袋が
止めてくれなかったらと思うと・・・

そしてその時、生前の爺ちゃんの
あの言葉が蘇ってきた。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

オレも歳だな

お前とこうして会話ができるのも、
あと半年以内か、
いやもっと短いかもしれん。

そんな、俺を含む老いぼれに対し、
最近の若い者は冷たいものだな。

大方、年寄りと接する機会が
少なかったのだろう。

子供に色々な経験をさせてやる親が少ない。

だが翆拳、お前には何事にも
挑戦する精神力がある。

しかし、だからといって生の茄子を
一度にどれだけ食えるかという挑戦は
吐くから今後一切するなよ。



よいか、翆拳。

例えオレみたいな老いぼれを悪く言う者、
憎む者が沢山いたとしても、
その者達に仕返ししようと思わんことだ。

その者たちは、親から愛情を
注いでもらえなかっただけだ。

道徳心を学ばなかった
可哀そうな者達であろう。

哀れだと思わないか?

悪い事をしても誰も止めてくれない。

ただ世間から白い目で見られるだけで、
そうやって自分が放置されていることにも
気付かないことを。

悪人のままこの世を去り、
犯した罪の重さを知らずに。

だから翆拳。

お前はそういう者達をも受け入れてられる、
器の大きい人間になるんだ。

男と男の約束だぞ。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




翆拳:
だが俺は、現実そういう
者達を受け入れられてねえ。

哀華を見るとついカッとなってしまう。

日頃から平気で「死ね」とか「殺す」
という言葉を容易く口に出す奴らを見ると

「どうせコイツらは命の大切さを知らねえクズなんだ。」

という先入観が真っ先に出てしまう。

あの女子中学生みたいな女に、
老人や男がみな敵対心を
抱かれているのかと思うと・・・




(心の声)
初めてだな、翆拳のこういうところ。



ばかばかし



ちょっと姉御!?



なんだと!?



そんなヘタレだったとはな。

お爺さんは、アンタにそんな泣きごとを
吐かせるためにその言葉を伝えたのか?

違うだろ。

約束したんなら最期まで
守り抜いてこそ男だろ。

誰かを憎んだって、復讐したって
亡くなった人は返ってこない。

だから・・・・・・


そんなメソメソされたら
コッチまで泣きたくなるじゃないの!
(´Д⊂ヽ




もしかして泣くのを我慢してただけ?



そういう人ですから、姉御は。



厳しいながらも本当に真面目な人かと
見直したのに一気に裏切られた気分



ッフ、まさかお前のような
絶滅危惧種もどきに活を入れられるとは。

でも本音で言ってくれる奴は
やっぱ信用できるな。

女にもこういうスカっとする
ヤツがいるとはな。

ありがとよ。



もしかして私に惚れた?

じゃあ付き合って


それはお断りだ



即答でフラれたーーー!泣

とうとう130人目だよーー!



なんでこの状況で告白できるかな?



姉御ってムードメーカーと自負してるけど
実際こけることが多いから
気にしないでください。


もう私帰る!



うん今度こそ本当に帰れ






<夕暮れの中での帰り道にて>







今日はある意味貴重なものを見られたな。

翆拳があのような一面を見せるなんて。


テメッ

そういうことにあまりつっこむな



でも翆拳さん、お爺さんが天国に旅立って。

幼馴染の、允さんだっけ。

その人までもがいなくなって。

本当に辛い思いをしてきたんですね。



もうフッキレた。

俺一人だけが辛い思いをしてきた
わけじゃないし、泣きっ面してたら、
爺ちゃんや允に申し訳ないからな。



翆拳は、1年の間に2度も告別式を
体験したから、その・・・

火葬場で人間の骨を
直視した時って、どうだった?



なんだお前、まさか人骨が怖いのか?



そういえば城助、幼稚園児の頃に
ヒイお婆さんの葬式で、
火葬場で骨見た時に大泣きしたんだっけ。



笑うなよー。

怖いと思う子供だって少しはいるだろ。



意外とだらしないね城助さん。

(実は私もターミネーター2の核爆発のシーンで・・・)



翆拳はやっぱ全然平気なのか?



平気も何も、爺ちゃんの時は確か・・・










人間の骨でダシ取ったら
どんなラーメンできるんだろうと思ってた




さすがにそれ不謹慎すぎるだろ!

今頃お爺さん怒ってるよ!



翆拳さんは長生きする人だと思います






<すっかり元気を取り戻した翆拳。
 これをきっかけに、彼の尖ってた性格が茄子のごとく丸くなり穏やかになったのでした。>







因果応報って誰にでも起こると思うか?



どうしたんだよ急に?



因果応報って、何だっけ?



いや、やっぱ何でもない。






<次の登校日の放課後・掃除の時間にて>







昨日さ、どこのクラスか
分からない男子から告られてさ~。

勿論フッてやたけど。

顔キモかったし。


そうそう。

悪人面の男なんかお断りだよね。



どうせ付き合うんだったらさ、
やっぱイケメンが良いよね。




男子生徒1:(ッチ)






<男子が渋々掃除をする中、女子生徒たちは全く手を動かさず雑談で盛り上がってたのでした。
 そんな様子に苛立ちを隠せないでいた男子たち。
 因みにここだけの話
 本当に健全な女性は相手がイケメンだろうと恋人にしたいかはまた別の話です。
 なのに「彼女募集中」と偉そうなことを言う、女心をナメすぎてる男が多過ぎなのです。
 コッチにも断る権利あるっつーの。>







ところで蒼、今日髪留めは?



朝寝坊して忘れてきちゃった。



でも世の中って理不尽よね。

そのイケメンに限ってヤンキーだったり、
逆に優しいのはブサイクで且つ
メタボ体型かガリガリ体型だし。




男子生徒2:ムカツクな・・・

男子生徒3:ていうか手動かせよ女子






<男子しか掃除しないのも、哀華が、
 「掃除は男子にやらせておけば良い。ゴミ同士で。逆らったら教えた護身術で返り討ちに。」
 と樹里を除く女子全員に言われてるからです。>







そういう意味じゃさ、
イケメンで優しい男って
絶滅危惧種だよね。

あ、でも彼氏欲しい系の話題って
哀華は絶対怒るよね?

聞かれてないよね?



いいじゃん、今いないんだし。

そういえば1年生の時だっけ?

巳亞っていう子がいたじゃない。

転校する前に、一人の男子と
いつも一緒にいたよね?

ちょっとイケメンだった人。



允君のことよね。

理由は分からないけど
自殺するなんて・・・何で?



うっそ、勿体ない!



まさか、自殺って哀華の影響じゃ



何話してるの皆?



!?哀華、なんだいたんだ。

別に大した話じゃないわよ。


そ、そうよ。

ちょっと、イケメン男子が
少ないかなーと話してただけで。


はぁ?

男なんて外見以前に存在そのものが罪よ。

それに、全部聞こえてたわよ。

何が「付き合うならイケメンが良い」よ?
私の友達であろう子が
何非常識な事言ってるの?


それとも、

「俺と付き合わないなら殺す!」

と、どこぞのゴミに脅されたのなら
私が潰してあげるから。






<哀華のこの限度を超えた発言に、日ごろから不満を抱えていた男子たちはとうとう・・・>






男子生徒1:
テメー!
いい加減にしろよっ!!
俺達男のことを何だと思ってるんだ!


男子生徒2:
コッチが大人しくなりゃ良い気になりやがってっ!




女子生徒1:
何よ!
アンタら男子が野蛮なのが悪いんでしょ!


女子生徒2:
さっさと刑務所まで連れていかれて処刑されちゃえ糞男子共!

女子生徒3:
哀華さんの言ってることは絶対なんだし喧嘩売ったら痛い目みるんだからね!!





皆、口論を持ちかけても無意味よ。


ゴミなんかに人間の言葉が
通じるわけないじゃない





男子生徒1:コイツまた俺達の事を!





あ、哀華・・・

いくらなんでもそれは



これって私らも何か
言わなくちゃいけないのかな?



もうやだ哀華コワイ






<蒼も観由も由宇も、哀華の言動にはもう付いて行けれない心境なのでした。
 一方その頃、教室から17m離れた廊下にて。>







まったくー翆拳遅いよー。

ゴミ箱空にするのに
何分掛かったと思ってるんだ?


悪い悪い。

茄子の料理を考えてたら遅くなっちまった。

今度食わしてやるからさ。



茄子の料理ねぇ。

(苦手なんだよな俺)

・・・なんか教室の方が騒がしくないか?



あれは・・・男子が一人廊下に倒れてるよ。






<廊下で倒れている男子の所へ駆けつける翆拳たち>







おいお前、しっかりしっ・・・

額から血出てるじゃないか!




男子生徒3:
ス・・翆拳・・・哀華が俺達を・・・






<翆拳たちが教室内へ行くと>






男子生徒1: グハァッ!


女子生徒1:
哀華さんヤメテ!
退学処分を受けちゃうよ!

男子生徒2:
くっそこんな時くらい男子の心配しろっての女子・・・
ガラスの破片で脛切って痛ぇ・・・





お前ら何やってるんだ!?




男子生徒1: 翆拳・・・


女子生徒3: 翆拳君!





俺、救急車呼んでくる!

鷹斗、樹里、それまでに
怪我人の応急処置を頼む!


分かった!

・・・哀華、なんか顔色悪くないか?



そういえば、呼吸も荒くなりすぎてるような・・・


って、早く怪我の手当てをしないと!





これ、お前が全部やったのか?



だったら何?

何ならアンタから先に・・・・・・




バタッ




女子生徒1: キャッ哀華さん!?

女子生徒2: どうしたの哀華!?





面倒なことになったな。

蒼、保健室まで運ぶの手伝ってくれ。


う、うん。






<保健室にて>






過労だな

学校から帰った後に直ぐ隣町へバイト。

休日はほぼ無制限でやってたみたいだから
日頃の疲れが溜まりすぎたんだろう。


哀華・・・

お父さんとお母さんがいないから、
妹さんと生活するために一人で
家庭を支えてきたんだ・・・。



俺は教室に戻る。

まだ片付いてないからな。

怪我人も多いみたいだし



にしても翆拳、
アンタ少しは前向きになったな。



私もそう思う。

以前までの怖い翆拳君じゃない。



そ、そうか?


ああ。

前は屋根裏に住みつく
小ネズミみたいだったけど、
今じゃ畑を荒らす猪へと
進化したみたいだな(笑)



誰が猪じゃい!


(笑)


あ、私も教室に戻るから、
先生、後はお願いします。






<教室へ戻る翆拳と蒼>







これでよしと。

とりあえず応急処置はしたが、
救急車がきたら直ぐに
病院まで運んでもらわないと。




男子生徒2: あ、ありがとう鷹斗。


男子生徒1:
これはどうしたらいいんだろう?





あ、怪我してるんだから無理しないで。

さてと、ガラスの破片はこれで全部かな。



あぁ怖かった、手当ありがとう。



怪我人の手当ては全員済んだ

って、なんで他の無傷な連中は
何もせず茫然と突っ立ってるんだ?




無傷の男子・女子全員:
・・・・・・・・・






<教室内にいた他の生徒たちは、哀華が暴れた最中も、その直後も、まるで他人事のようにただ傍観していただけでした。
 怪我人の手当ての手伝いも一切せず。>







鷹斗、怪我人の手当ては済んだか?



ああ、後は救急車が来るのを待つだけだ。


でも、他の皆は・・・。


皆、どうしたの?



お前らなんで突っ立ったままなんだ?

怪我人の手当てとか手伝わなかったのか?


翆拳君。

皆突然の出来事に驚いてるから、
それで体が思うように動かないのよ。




男子生徒1:
済まなかった!
元はと言えば、俺が感情的になって大声だして。


男子生徒2:
俺も、一緒に釣られて怒りだして・・・
自分が情けない。





そう自分を責めるな。

傷に響くから喋らない方が良い。






<最初に哀華に歯向かった男子生徒たちは、怪我を負ったこともあってか、
 自分たちが騒動の原因だと思い込み罪悪感を抱きながら謝るのでした。
 しかし、女子たちは・・・>






女子生徒1:
そうよ!
男子ごときが調子にのって哀華に立て付くから悪いのよ!


女子生徒2:
そうよそうよ!
しかもそんな奴ら助けるなんてモノ好きな奴ら!
人助けしてる自分に酔ってて良い気分!?






<反省の色、全くなし。>






お前ら



落ち着け鷹斗。

「そんな奴ら助けるなんて」

・・・か。

怒りを通り越して哀れみさえ感じる。

怪我してる者を目の前にしても
何も感じないか?




女子生徒1:
知ったことじゃないわ!
さっさとクタバレば良いのよ!
ここにいる傷を負って肉塊になりかけのクズ共なんて!!




!?


はぁ・・・

と、言われてどう思う、観由。

お前の足首の切り傷、
浅そうだけど大丈夫か?




女子生徒1: !?





う、うん平気・・・

・・・でも・・・

肉塊だなんて酷いよ(泣)



観由・・・泣かないでよ・・・



観由だけでなく由宇も
手の甲怪我してるじゃない。




女子生徒1: う・・・ウソ・・・






<その女子生徒は、怪我を負ったのは男子だけと思い込み、他の女子まで巻き添えになったところまでは見えてなかったのでした。>







お前の今の発言が、
何を意味してるか分かるか?

女子にも怪我人が出てるにも関わらず、
それに全く気付かずに、
ただ哀華が暴れる様子を眺めてただけで、
いざとなると何もできねーじゃないか。

女は男と違ってどんな時でも
仲間(同性)を助け合うとか、
緊急時には男なんかよりは役立つだの、
散々上から目線で言っておきながら。

アレは嘘だったのか?




女子生徒全員: ・・・・・・





テメーらもだ男子共!

蛇に睨まれた蛙みたいに
硬直してんじゃねぇ!

そんなんだから哀華に
ナメラれっぱなしじゃねーのか?

アイツの今までの度の過ぎた言葉の暴力が
下らない事くらい分かるだろ。

なのにイチイチ反応するんじゃねーよ!




男子生徒1・2:
本当に・・・ごめん(泣)





いや二人はいいから。

怪我人側だし、さっきも謝ったじゃないか。



まあソイツらはともかく、
他の奴は反省の色があるのか。

特にコイツは・・・。






<他の生徒の目線が、さっきまで暴言を吐いていた女子に集中するのでした。
 すると彼女は・・・>






女子生徒1:
ハァ?

なんでウチが反省しなきゃいけなんだよ?

さっきから一人で目立ちやがってよー!

怪我した女が不注意なだけなんだよ!

そして元はと言えば男が原因だろーが!

テメーら男なんかくたばっちまえば












女子生徒1: ッツ!?





「死ね」と
言いたいのね

じゃあまず
アンタがくたばって
死後の世界の感想
聞かせなさいよ



この女の
クズが!





女子生徒1: ッヒ!?





・・・蒼、お前・・・



蒼カッコイイ



お・・怒ると怖いんだな・・・蒼。



フゥ、清々した。


あ、救急車来たよ。






<ようやく来た救急車によって怪我人は病院へ運ばれ治療を受けるのでした。
 同時に翆拳たちもワケあって病院へ赴くのでした。>






やれやれ

まさか哀華まで病院に運ばれてたとは。

先生が、念の為病院で
診てもらった方が良いからって。



とりあえず、クラスの皆が反省
してくてたから良かったけど・・・。



あの女子は黙り込んだまま
結局謝らなかったな。

ある意味で哀華よりタチ悪いな。



その哀華さんの病室は何階かな?



えーっと、確か3階の
107号室と受付で聞いたよね。






<哀華が安静にしている病室がある3階にて>







男の俺らまで入室して良いのかな~?

「男なんかに見舞いに来られるくらいなら死んでやる」

なんて言われたら俺へこむぞ。



こら、そういうこと言わないの。



もし哀華がそう言ったら、
私が彼女を叱ってあげるから。






病室の前に誰か立ってるぞ?






<107号室の近くまで来ると、ある一人の青年が入り口前に立ってました。
 そして翆拳たちに話しかけるのでした。>







哀華さんのクラスメイトの方々ですね?

初めまして。

楓峰高校の生徒会長・精進です。





楓峰高校の・・・



何故、哀華の病室の所に?



詳しい話は後ほど。

まずは、哀華さんの病室へ
心して入ってください。


心して?






<病室へ入ると、そこには・・・>







失礼し・・・?





あ、樹里さん達・・・

お姉ちゃんが(泣)



線香の香り?


!?

・・・・・・おい嘘だろ!?


ねぇ

なんで哀華の顔に白い布を被せてるの?






<病室のベッドで横になっていた哀華の顔には、白い布が被せられているのでした。
 そのそばに立っていた一人の男が・・・>







君達が哀華のクラスメイトだね?



ハイ・・・あの、もしかして・・・



お姉ちゃんと私の・・・

お父さんよ。



(この人が。真面目そうな人に見えるが)

あの、単刀直入にお聞きしますが、
奥さんをアヤメたというのは、
本当ですか?



ちょっと鷹斗君。

いきなりそれを聞いちゃ




本当だ




(心の声)
本当だったんだ



どうしてですか?

哀華は、お母さんがいなくなって、
お父さんのあなたもいなくなって、
今までとても苦労してたんですよ。



そうだね・・・

妻には、二人の成長ぶりを見て欲しかったし。

私の大切な人として、
もっと長生きしてもらいたかった。


じゃあ何故?

その、いくら奥さんが病気持ちで
残り僅かな寿命でもアヤメたら
列記とした殺人ですよ?

それで刑務所に行く事になって・・・


違うの!

お父さんは人殺しなんかじゃないの!

ただお母さんの言うとおりにしただけなの。



・・・どういうことだ?



未子!



私耐えられないよ。

お父さんが人殺し扱いされるなんて。



あの、本当の事を話して頂けませんか?

このままではスッキリしませんから。


わかった。

妻は、癌により残り3ヶ月以内の
命と宣告された翌日、

「癌で死ぬくらいなら自分で自分を殺してやる」

と言って、私にある物を
持って来させたんだ。



つまり・・・毒薬か何か。



でも、毒薬とも知らずに
持って来させられたんですよね?

お父さんが奥さんをアヤメたってことには



確かに、でも、どっちみち同じだよ。

妻が入院した直後は、仕事が忙しい理由で、
見舞いに行ってあげられなかったんだ。

癌の治療法についても
調べる余裕も無かった。

私が見殺しにしたも同然なんだ。


そんな!

癌なんて素人にどうにかできる
もんじゃないし早期発見が遅れると
助かる確率なんて0だよ!

お父さんのせいじゃないよ!



哀華・・・さんが言ってたすけど、
奥さんが病室で亡くなった直後、

「人殺しの目をしていた」

と言ってたすけど?


そうか。

今私の目付きも悪いだろう?

これは単純な話、
悲しみをこらえているのだが、
言い訳にしかならんな。

不器用なもので、
私はそうでしか悲しみを抑えられない。



それで哀華さんが、お父さんが
お母さんをアヤメたと思い込んで、
男性に対する敵対心が強くなったとも。



そうだな・・・

父親の私にも冷たかったな。

君達男の子にも苦労をかけたね。



ですがまあ、今となっては・・・



でもお父さん、自分の事を人殺し
だなんて決めつけないでください。


しかし、今回だって、
長女が過労で倒れたのに、
私は何もしてあげられなかった・・・。

そして、娘は過労死で・・・。

私は父親失格だ。

自分が憎い・・・。



・・・親父さん、
生意気な事言わせてもらいますけど、
誰かを憎んでも亡くなった人は
返ってこないんだよ。

憎む対象が自分であっても。

そんな後ろ向きな事を言うために、
自分の娘達の前に出所して
戻ってきたんじゃないんだろ。



翆拳・・・



君は厳しいな、いや、
自分にも厳しいとお見受けする。

名前はなんて言うんだい?


翆拳です






<室外にて>







精進君にとって哀華さんとの関係は・・・



元恋人と言っておきましょう


え!?



驚かれるのも無理ありません。

彼女が男嫌いであることは知ってますが、
僕だけには唯一普通に
接してくれましたからね。



アイツに彼氏がいたなんて・・・



ですが、お母さんが亡くなられたのを境に、
突然彼女から

「お互い距離を置こう」

と電話が来たんです。


理由はおそらく、
それまで以上に男に対する
憎しみ・敵対心が強くなりすぎて、
僕にまで牙を剥きたくなかったんでしょう。



だから、涙を惜しんで、
わざと距離を置くように・・・。



でも、なんでそれが理由と分かったの?



もし、男である僕が嫌いで
別れるよう電話した場合、
通常、声は機嫌悪そうな
口調に聞こえるものです。

ですが当時の彼女の場合、
泣きながら言ってました。

別れることが本当に辛かったのでしょう。

それと、仮に距離を置かずに
今も付き合ったままとしましょう。

表では男嫌いと通ってるのに、
万が一彼氏がいると知られたら、
どうなりますか?

彼女は女子生徒全員からの信用を失い、
自分の居場所を失うこともなります。



哀華とはいつから?



中学3年生の頃、受験で塾に通ってました。

そこで出会いました。

ま~確かに、最初は不愛想でしたね。

分からない問題をよく
お互い教え合ったりしましたね。



ちょっと衝撃的だな。

なあ翆拳



・・・悪い、暫く一人にさせてくれ・・・





翆拳君・・・






<離れたベンチにて>






翆拳:(心の声)
・・・何なんだ、この気持ちは・・・

何で俺、涙流してるんだ・・・

あの女の事、憎いと思ってたのに・・・

改心させてやろうと思ってたのに・・・

その後は、茄子の糠漬けを
食わしてやろうと思ってたのに・・・

熱くなってきたと思ったら、
逝っちまいやがって・・・




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はい、お話は一旦ここまでです。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

一応この後も話は続きます。

が、この先の展開が、
今までのストーリーとあまりにも
辻褄が合わない内容なので、

【裏編】

として且つパラレルワールドという形で
紹介していきます。

そのため、各キャラ設定や
ストーリー展開も大幅に変わってます。


ボカロが語る【尊い命】裏編Ⅰ


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